【おすすめ】 瀧羽麻子「うちのレシピ」新潮社文庫/2組の家族が描かれた連作短編小説

私の好きな本を紹介します。

小説家の瀧羽麻子さんが書かれた小説です。あたたかい気持ちになれる、さっぱりとした文章で書かれた連作短編小説です。

 

これから以下の目次のとおり、あらすじ・おすすめポイント・解説などを紹介していきます。

 

 

あらすじ

ある3人の家族が営む小さな洋食店「ファミーユ」が舞台の全6編の連作短編小説。

洋食店を営む家族の3人と、そこで働く青年、青年の両親の6人が登場する。

短編ごとにそれぞれの視点で物語が進んでいき、6人の過去と現在と未来が交錯する。

おすすめポイント3つ

①1編が約40ページと短い
②淡々とした読みやすい文章で疲れない
③等身大に描かれた登場人物たちの葛藤に共感しやすい

解説

読書の醍醐味は自分とはちがう立場から物をみる体験できることだと思います。
この小説では6人の人生が描かれているので、同じ舞台設定から6人分の人生を体験できます。
例えば「うちのレシピ」では立場のまったく異なる3人が登場します。

1人目が会社員から洋食店「ファミーユ」のシェフへ転職しそこの娘と結婚する青年。

2人目は外資系の金融会社に勤め、休日返上で猛烈に働いている青年の母親。

3人目は料理一筋で今は引退している洋食店「ファミーユ」の元シェフ。

特に私が好きなのは2人目の青年の母親の短編です。
青年の立場に今の私はあたるので、全く違うものの見方や感じ方を母親の視点から体験できるからです。

 

「うちのレシピ」は気軽に読める文章で、あたたかい気持ちになれる小説です。

『今日は本を読む気力がないけれど何か読みたいな』
『気分を変えてリラックスするために何かしたい』

と思った時に読んでいます。

 

ほかおすすめ作品

瀧羽麻子さんのおすすめはほかに、

左京区七夕通り東入ル」(2012年小学館文庫)京都の大学生が主人公の恋愛小説

「乗りかかった船」(2020年光文社文庫)造船会社を舞台にそこで働く人々を描いた連作短編小説

「女神のサラダ」(2020年光文社)農業に携わる女性たちを描いた連作短編小説

の3作があります。

 

著者情報

瀧羽麻子
1981年生まれ
兵庫県芦屋市生まれ
神戸女学院中学部・高等部、京都大学卒業
2007年「うさぎパン」でデビュー

 

受賞歴:
2006年 「きらら」携帯メール小説大賞グランプリ06受賞(「まゆちゃん」)
2007年 第2回ダ・ヴィンチ文学賞(「うさぎパン」メディアファクトリー/ 幻冬舎文庫
2019年 第66回産経児童出版文化フジテレビ賞(「たまねぎとはちみつ」(偕成社))

 

著書に「株式会社ネパーラ北関東支社」「いろは匂へど」「サンティアゴの東 渋谷の西」。
近著は「女神のサラダ」(2020年光文社)「あなたのご希望の条件は」(2020年祥伝社

 

リンク:文学賞の世界(受賞・候補歴)
https://prizesworld.com/prizes/name/瀧羽麻子
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書籍情報

文庫
価格:¥649
出版社:新潮社
ページ数:288p
出版日:2021年10月(単行本:2019年)